Y-Ken Studio

新しもの好きのデータエンジニアが四方山話をお届けします。

スケジュール共有が出来るオンライン/オフラインソフトを徹底比較

弊社のオフィスでは設立前から継続して「Ariel MultiScheduler」を利用しています。
が、度々スケジュールの同期が遅れたり失敗することと、HDDへの読み書きが多く、複数のプロセスがCPUリソースを消費することから色々と問題を感じていました。*1

こういったスケジュール共有ソフトの多くはWindows専用か、サイボウズの様に高価でWEBから回覧するタイプが一般的となっているのが現状です。また、Macはあまり視野に入っていないようで、我々Macを使っている2人にとって*2Parallelsなどの仮想化ソフトを使って、Windowsをスケジュール共有の為だけに起ち上げているという状態です。
そんな状況から脱するべく今回、片っ端からスケジュール共有が出来るソフトを探し、比較しましたので公開します。

私の希望としては以下の条件です。

  1. 予定の招待・・・複数人が参加する予定をメンバーを選択して作成できること
  2. Macも対応・・・マルチプラットフォーム(Windows/MacOSX対応)であること
  3. オフライン回覧可・・・オフラインでも見られること
  4. 携帯端末対応・・・携帯電話で外出中にも見られること
  5. 無料・・・社員がまだ10人に満たないため、年間数十万はまだ出せませんので…
  6. 日本語・・・全員が英語が堪能という訳ではないため、日本語版が出ていること


それでは、見つかった約20種類のスケジュール共有・グループウェアの中で気になった物をいくつか紹介します。
2009年5月2日追記:再調査を行いましたが2009年の現在もランキング変動無しです!


Ariel MultiScheduler


長らく利用させていただいているソフトです。オフラインでも回覧可能で便利だが、無料版ではWindows専用。
携帯端末対応でない事、同期が遅い、Mac非対応という事さえ除けば、かなり使い勝手は良いです。
特筆すべき特徴としては、それぞれの人ごとにスケジュールの列が分けられているので、GoogleCalendarのように1つの枠の中に大量のスケジュールが並び、自分のものがどれか分からなくなるという事もありません。
Ariel AirOneProjectAという多機能な有料版(12,600円/ライセンス)ですとどちらもベータ版ですがLinux版やMacOSX版があるようです。


c2talk


ソーシャルカレンダーソフトです。Arielでは公開する設定がありませんでしたが、こちらですとそういった設定も出来ます。また、MacOSX/Windows対応で、Arielに比べても機能が多いのが特徴。携帯電話対応・iCal対応・外部カレンダーを登録して一緒に表示することも可能。Arielにあったスケジュール同期の遅延も無く、目立った問題ありませんでした。
どちらかと言うとGoogleCalendarに近いです。しかしながら、どこに何があるのか分かりづらいためにインターフェースに慣れが必要。全体的には好感を持てます。2006年の夏に出たばかりなのでバージョンアップに期待。


Mozilla Sunbird


Mozillaのカレンダープロジェクトの1つとして開発が進められている。WebDAV、CalDAVに対応しており、ローカルだけでなくネットワーク上のカレンダーを読み書きすることもできる特徴がある。MacOSX/Windows/Linuxに対応
但し、まだまだ業務で使うには心許ないのと、動作が重たいことに加えてまだ日本語版がリリースされていない。
これがもし、Ariel Multischedulerのようになれば、、と思いつつ、今後に期待しています。
2007年12月7日 追記:かなり進化*3した模様です。ページ末尾に追記しましたので、ご覧下さい。


Microsoft Office Groove 2007


一般的なクライアント/サーバ型での情報共有を超えて、P2Pやオンライン/オフラインという、ユーザーのあらゆる利用環境を想定して作られている。アプローチは先ほど紹介したArielの製品に近いですね。但し現在はMac非対応。今年の冬に出るMicrosoft Office 2008 for Macでは対応するんでしょうか?期待大です。
もしMicrosoft Exchange Serverがあるのであれば、Microsoft Office 2004 for Macに付属しているEntourageというメールソフト(WindowsでいうOutlookMacっぽくしたもの)で完全な同期が取れるようです。難点はExchange Serverがとにかく高い事。


グループウェア LacoodaST


ケータイ対応で「スケジュール帳/タスク管理/会社行事予定/回覧板/伝言メモ/当番表/行先ボード/ワークフロー/掲示板/取引先・担当者情報/ファイル共有/施設予約」を備えた、かなり機能満載なWebアプリケーション。動作環境にMacは書かれていないものの、ブラウザで回覧すると言うことなのでFirefoxあたりを使えば動くかもしれない。サーバの構成としてはApache+PostgreSQL+PHPという具合。クライアントソフトはないので、オフライン機能は残念ながら無い。しかし1年間98,000円の人数無制限ライセンスで、サイボウズを凌ぐような機能を備えている。


Hula


デザインが良かったので紹介しました。すっきり、ゆったりしていていいですね。
また、かなり熟成された物としてはeGroupWareがあります。日本語対応でかなり多機能なグループウェア。オフライン機能無し、携帯非対応。


GroupSpirit


珍しく国産でなおかつ無料なグループウェアです。サーバセットアップパッケージはWindows向けしかないが、インストールした後、Linuxに移植するのも出来そうではある。構成としてはApache+PostgreSQL+PHPだ。かなり似ているLacoodaSTは約10万円な所、こちらは無料。但し正式にMacに対応していないところが個人的には×。オフライン機能無しだがモバイルには標準対応。今後に期待。


Group-Office Japan - オープンソースグループウェア


GroupSpiritのようなものでもっと簡単にできる物はないかと探してみると、ありました。
オランダ発祥のオープンソースグループウェアです。モバイルにも日本語にも対応(27ヶ国語対応)な上、無料。
比較表を見ると、大手のサイボウズをかなり意識しているようです。機能もそれに劣らないほどの出来。凄いですね。


Google Calendar


実は最強のものが身近にありました。
スケジュール共有の手順はhttp://d.hatena.ne.jp/chiyorozu/20060413/p1に詳しく書かれています。
Ajaxに対応してない携帯電話に対応しているか心配だったのですが、携帯電話用の回覧プログラム(Ruby)もありますし、
オリジナルの、モバイル用に用意されたインターフェースを使う場合はURLを指定するだけで見られるようです。万全ですね。
また、「ギネスの飲み会のお知らせ 4/23 19:00-22:00 at 新宿 フリゴ」のようにメールを送るだけでスケジュール登録が出来てしまうなど、Google以外には無いGTD的な機能もあります。
次に、Macでのオフライン機能面で調べてみると、OS標準のスケジュールアプリであるiCalで見られるようにするには、Googleカレンダーical形式のURLをコピーしてiCalから「照会」でURLを入力すると行けるようです。他にも、iCalと同期もSpanning SyncgSync可能なようです。
また、Windowsでのオフライン利用に関しては日本語サポートに少し不安が残りますが、フィルタリングやタグ付けも出来るようになっているCalgooを使えばOKみたいです。Outlookとの同期に関してはRemoteCalendarol2gcで出来るようですし、クロスプラットフォームに対応となっているGoogle Calendarが現在最強な評判です。
FirefoxのExtensionとしてはGoogle Calendar Quick Add Firefox Extensionがありますので、急に予定を登録したくなったときもすぐに追加が出来る。
2007.02.23 追記:Googleカレンダーを携帯で利用するPHPスクリプトが出ていますね。

いやはや、無料でここまで便利な物が使えるとはGoogleさん、さすがですね。


それでは現時点でのおすすめオンライン・オフライン対応スケジュール共有ソフトTOP3を発表します。

  • No.1 GoogleCalendar(5人以上で共有する場合は文句なしでArielMultiScheduler)
  • No.2 c2talk
  • No.3 ArielMultiScheduler (Windows版のみ)

これを参考にみなさんに最適なスケジュール共有ウェアが見つかれば幸いです。

もし、この記事に抜けているオススメの物があればタレコミお待ちしております!

2009年現在はどうなのか?

現在も、弊社では継続してAriel MultiSchedulerの無料版を利用しています。社員数も16人となりましたが、安定して動作しています。
調べてみると、スケジュールデータはすべてSQLiteのデータベースに保存されているため、人数とスケジュール登録数が増加するにつれて多少重たくなるという現象は一時期ありました。
しかしメモリ上に蓄える期間を1ヶ月などに設定すれば特に問題もありません。
そして、1つ冒頭で挙げた同期の遅延問題に関しては、常にArielを起ち上げるPCを1台用意することで解決しました。

*1:使っていたマシンはFMVのPentium M 1.1GHz メモリ512MBのノートです。

*2:私と、代表の2人のみがMacBook。他のメンバーのPC9台はWindowsという具合です

*3:2007年12月7日現在、日本語版がリリースされ、反応速度も向上しGoogleCalenderとも同期が取れますので、オフラインでも使えるかなりオススメソフトへと進化しているようです!詳細はGigazineさんのSunbirdの解説ページにあります。