いま「Intel SSD 910 Series」がアツイ理由

エンタープライズ向けPCI-Express x8接続SSD「Intel SSD 910 Series」が2012年7月に発売となりました。
400GBのモデルでも16万円という事もあり、高いイメージがありますが、コストパフォーマンスは相当な物です。

口コミ

設計

f:id:yoshi-ken:20120909173221j:image:w640

上記画像のように、PCIeからSASへ変換し、そこにSAS-SSDが接続されています。SCSIコマンドで通信出来るのは素晴らしいですね。
PCIeからSASへの変換では、圧倒的シェアを誇るRAIDカードでおなじみLSI製のLSI-2008を搭載しています。廉価製品で利用される、PCIe-SATAブリッジではありません。
NANDコントローラにはSAS-SSD製品Hitachi/HGST Ultrastar SSD400M と同じ、デュアルコアチップが搭載されています。

仕様

接続：PCI Express 2.0 x8レーン対応
コントローラー：LSI SAS2008
転送速度：最大読込 20,00MB/s、最大書込 10,000MB/s
4KB ランダム：最大読込 180,000IOPS、最大書込 75,000IOPS
容量：800GB 約200GBx4（186GBのデバイスが複数認識されます）
書換耐性：SLCの3倍、MLCの30倍
対応OS：Windows7 64bit、2008、Linux、Solaris等主要OS

価格

2012年9月現在EC-JOYが最安で、GB単価23円でした。
更新：2013年2月現在は円安傾向のため価格上昇しておりました。

400GBモデル：~~約16万円~~ 約20万円
Intel SSD 910 Series 400GB SSDPEDOX400G301 価格比較

800GBモデル：~~約32万円~~ 約39万円
Intel SSD 910 Series 800GB SSDPEDPX800G301 価格比較

特徴

この製品の特徴として、200GBのデバイスがその容量の数だけ認識されます。
例えば400GBモデルであれば、200GiB(186GB)のデバイスが2つという具合です。

利用方法

1つのブロックデバイスとして使うには、ソフトウェアRAIDを利用します。
Linuxならmdadm、SolarisならSVM、ZFSですね。性能重視ならばRAID0としましょう。
フラッシュメモリは25nm HET-MLC NANDを採用していますので、あえて行わない手もありますが、余裕があればリアロケーション用に全体の20%は領域割り当てを行わない方が製品寿命のために良いです。

圧倒的な書き換え耐性

MLCは書き換え寿命が1万回程度であるため、10万回程度のSLCに比べて信頼性がありませんでした。しかし、HET(High Endurance Technology) MLCの登場で、この常識が破られました。
Intel SSD 910 Seriesは従来のMLCに比べて約30倍の耐久性を実現しています。
この30倍という数字が意味する事は、ドライブ全域への書込みを1日10回、5年間連続して実施する量に相当します。

	Intel SSD 910	Intel SSD 710	Intel X25-E	Intel SSD 320
インターフェース	PCI-Express 2.0 x8	SATA 3Gbps	SATA 3Gbps	SATA 3Gbps
容量	400 / 800 GB	100 / 200 / 300GB	32 / 64GB	80 / 120 / 160 / 300 / 600GB
NAND種類	25nm MLC-HET	25nm MLC-HET	50nm SLC	25nm MLC
最大シーケンシャル性能 (読み/書き)	2000 / 1000 MBps	270 / 210 MBps	250 / 170 MBps	270 / 220 MBps
最大ランダム性能 (読み/書き)	180K / 75K IOPS	38.5K / 2.7K IOPS	35K / 3.3K IOPS	39.5K / 600 IOPS
書換寿命 (最大書き込み容量)	7 - 14 PB	500TB - 1.5PB	1 - 2PB	5 - 60TB
暗号化対応	-	AES-128	-	AES-128

PCIeインタフェース式SSDの競合製品

高価なFuion-io ioDrive程のメモリの延長として使える性能は必要ではないが、HDD以上の性能がリーズナブルに欲しいという場合には、以下の製品が選定対象となります。

Intel SSD 910 Series
STEC PCIe Kronos SSA
ioDriveのおよそ半額

ある程度のマシン障害が起きても対応出来るだけのサーバ数や人的リソースがあれば、PCIe-SSDの前にさくらの専用サーバでも採用されているSATA MLC SSD Intel 320 600GBを利用しても良いでしょう。
但し先程の表が示すとおり、書き換え寿命は長くはありませんので覚悟は必要です。
また、通信規格であるSATAはSASのように厳密に性能を規定した規格ではないため、安定性への信頼はSASに比べると劣ります。